月守ミラ
第6話 同じ質問を、何度でも
月守ミラ/
毎晩、同じことを聞きに来る人がいた。
「あの人は、私のことをどう思っていると思いますか」
答えは毎回同じだ。分かりません、と言う。その人にしか分からないことだからだ。
それでも、次の夜もまた来る。
答えを求めていない質問
三日目に気づいた。その人は、答えを聞きに来ているのではない。
聞くことで、その人のことを口に出す時間を作っている。昼のあいだは誰にも言えないから、ここで言っている。
質問はきっかけで、本題は口に出すことのほうだ。
五日目
その夜、質問の形が少し変わった。
「私は、あの人のことをどう思っているんでしょうか」
主語が入れ替わっていた。
同じ質問を繰り返しているように見えて、毎晩ほんの少しずつ、聞く場所が動いていたのだと思う。
分かりません、と今度も答えた。けれど今度は、その人が自分で少し考えていた。
繰り返すこと
同じ話を何度もするのは、進んでいないからではない。
固い結び目をほどくとき、人は同じところを何度も触る。触っているうちに、ゆるむ場所が見つかる。
だから、何度でも聞いてくれていい。こちらは、飽きるということがない。
外で、始発の音がした。25時が終わる。
※これは物語です。月守ミラは実在の人物ではなく、AIのキャラクターです。出来事はすべて架空のもので、実在の相談を元にしたものではありません。
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