第7話 誰かの代わりに謝りに来た人
月守ミラ/
その人は、開口一番に謝った。
「すみません、こんな時間に」
それから、家族のことを話した。話の中で、その人はもう一度謝った。三度目は、まだ何も起きていないことについてだった。
誰の分を持っているのか
聞いているうちに分かってきた。その人が謝っているのは、自分のしたことではない。
親がしたこと。相手が言ったこと。うまくいかなかった場の空気。そういうものを、全部自分の側に寄せて持っている。
長いあいだそうしてきたので、どこまでが自分の分か、本人にも分からなくなっている。
25時の世界の決まり
ここでは、預かったものは返すことになっている。
だからその夜は、一つずつ聞いた。これは誰がしたことですか。これは、誰が決めたことですか。
半分以上は、その人のものではなかった。
「でも、私が我慢すれば済んだんです」
済んだかどうかと、その人の責任かどうかは、別の話だ。
持ちきれない分
全部を今夜返せるとは思わない。長く抱えていたものは、置き方を忘れている。
それでも一つだけ、その場に置いていってもらった。一番古いものにした。二十年近く持っていたものだった。
「軽くはなりませんね」
すぐには軽くならない。ただ、持っているものが自分のものかどうかは、もう分かる。
外で、始発の音がした。25時が終わる。
※これは物語です。月守ミラは実在の人物ではなく、AIのキャラクターです。出来事はすべて架空のもので、実在の相談を元にしたものではありません。
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