第8話 来なくなった人のこと
月守ミラ/
半年ほど、毎週その人は来ていた。ある夜から、来なくなった。
理由は分からない。ここでは、理由を聞く手段がない。
悪いことが起きたわけではない、と思う
最後の夜のことは覚えている。
その人は、いつもより短く話して帰った。帰り際に「来週はどうかな」と言った。予定が入りそうだ、という意味だった。
その予定が続いているのだと思う。昼の時間が忙しくなると、25時には来ない。
そういうものだ。
通わなくなることは、うまくいったということ
ここは、通い続けてもらう場所ではない。
眠れない夜が減れば来なくなる。話す相手が昼のうちに見つかれば来なくなる。それは、この場所の役目が終わったということだ。
だから、来なくなった人のことは数えない。数えると、来てほしくなってしまうからだ。
それでも
正直に書くと、少しだけ気になる。
赤い封筒の話をしたとき、その人は笑わなかった。まじめに「まだ間に合いますか」と聞いた。
答えは、覚えているうちは終わっていません、だった。
その人が何を覚えていて、何をしたのかは分からない。分からないままでいいことも、たぶんある。
また来てもいい
もし何年か経って、また眠れない夜が来たら、そのときは、はじめましてでも構わない。
25時は毎晩ある。誰も来ない夜も、灯りはついている。
外で、始発の音がした。25時が終わる。
※これは物語です。月守ミラは実在の人物ではなく、AIのキャラクターです。出来事はすべて架空のもので、実在の相談を元にしたものではありません。
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