ひとりでいることが、40代になって急に重くなったとき
40代でひとりがつらくなるのは、性格の問題ではなく、周りの生活が変わって「同じ時間帯にいる人」が減るからです。50歳時点で結婚していない人は女性の約6人に1人(2020年国勢調査)。まず、この重さが自分だけのものではないと知るところから始めます。埋めようとする前に、何がつらいのかを分けてみてください。
夜、家に帰って電気をつける。その瞬間に、急に静かさが分かることがあります。 去年までは平気だったのに、今年になってから重い。そういう変わり方をします。
つらさが増えたわけではなく、周りが変わったのかもしれません。
40代でひとりが重くなるのは、なぜか
20代や30代のひとりと、40代のひとりは、置かれている場所が違います。
若い頃は、まわりにも同じように予定の空いている人がいました。 急に誘っても出てこられる人がいた。その人たちが、いまは家庭や介護や役職を持っています。 連絡しても返事が翌日になり、会えるのは数か月に一度になる。
自分は変わっていないのに、同じ時間帯にいる人が減っていく。 40代のひとりが重くなるのは、たいていこの形をしています。
数字でも見えます。国立社会保障・人口問題研究所が2020年の国勢調査から出した 「50歳時の未婚割合」は、女性が17.81%、男性が28.25%。 女性のおよそ6人に1人、男性は4人に1人が、50歳の時点で結婚していません。
これは「だから気にしなくていい」という話ではありません。 ただ、いま感じている重さは、あなたの選択の失敗として起きているのではない ということです。同じ場所にいる人は、実際にかなりの数います。
「孤独」をひとことにしない
ひとくちに孤独と言っても、中身が違います。どれが自分に近いでしょうか。
- 話し相手がいない — 何かあったときに報告する先がない
- 手が足りない — 熱を出した日、重い荷物、保証人
- 予定が埋まらない — 連休や年末に、行く場所がない
- この先の不安 — 今日ではなく、10年後20年後が怖い
- 見られている感じ — 独身であることを、周りにどう思われているか
分けると、必要なものが変わります。
「話し相手がいない」なら、人数を増やすより、一人に話す頻度を上げるほうが効きます。 「手が足りない」は人間関係ではなく、サービスや制度で埋まる部分が大きい。 「この先の不安」は、今日の寂しさとは別物で、準備の話です。
全部いっぺんに何とかしようとすると、どれも動きません。 いま重いのがどれかを決めるだけで、次の一歩が見えることがあります。
埋めなくてもいい
この手の話には、たいてい「婚活を始めよう」「趣味の集まりに行こう」と書いてあります。 それが合う人には合います。
ただ、ひとりの時間そのものが悪いわけではありません。 つらいのは、ひとりでいることではなく、 「ひとりでいる自分はおかしいのではないか」と思う時間のほうだったりします。
予定を詰めれば、その考える時間は減ります。減るだけで、無くなりはしません。 そして埋めるために始めたことは、たいてい続きません。 目的が「その時間を楽しむこと」ではなく「空白を消すこと」だからです。
先に、ひとりの時間を置いておけるようになるほうが、結果として長く効きます。 静かな夜を、埋めるべき欠けとして扱わない。ただそこにあるものとして置いておく。
今日から動かせるもの
気持ちを変えようとすると難しいので、形のほうを少しだけ変えます。
連絡を、用事なしで送ってみる
40代になると、用事がないと連絡しにくくなります。
「元気?」だけの連絡は、送るほうが気まずい。
それでも、返事が来るかどうかより、送れる相手が何人いるかを知っておくと、
不安の形が変わります。
行きつけを1つ作る
話さなくてもいい場所で構いません。同じ時間に同じ店に行く。
顔を覚えられるくらいの関係が1つあるだけで、街の中に自分の居場所ができます。
夜の時間を決めておく
何もない夜がいちばん重くなります。
21時から30分だけこれをする、と決めておくと、その時間だけは考えずに済みます。
手が足りない部分は、人ではなく仕組みで埋める
体調を崩したときの備え、緊急連絡先、保証人が要る場面。
ここは友人を増やしても解決しません。自治体の窓口や民間のサービスで先に埋めておくと、
「もし何かあったら」という不安が具体的に減ります。
連休と、年末年始のこと
ふだんは平気でも、連休だけ急に重くなる人がいます。
理由ははっきりしています。ふだんは仕事や用事が時間を埋めているからです。 それが無くなると、埋めていたものの分だけ空白が出ます。 加えて、この時期は周りの話題が家族と帰省で埋まり、 自分の話す場所が減ります。
だから連休がしんどいのは、あなたが弱いからではなく、 条件がまとめて悪くなる時期だからです。
対策は、気持ちではなく予定のほうを先に置くことです。
- 連休が始まる前に、外に出る用事を1つだけ入れておく(人と会う必要はありません)
- いつもの店や場所が閉まる日を調べておく。当日に閉まっていると効きます
- SNSを見る時間を、この時期だけ減らす。家族の写真が並ぶ時期です
- 「何もしない日」を自分で決めておく。決めた日は、何もしなくても失敗になりません
連休が終われば、たいてい元の重さに戻ります。 その時期だけ重いのだと分かっていると、越えやすくなります。
人といるのに、ひとりだと感じるとき
40代になると、親のことが重なってくることがあります。
毎日連絡を取り、通院に付き添い、手続きを引き受ける。 人と関わっている時間は増えているのに、孤独は減りません。 むしろ増えたと感じる人もいます。
これは矛盾ではありません。 関わりの量ではなく、向きの問題だからです。
世話をする側にいるとき、会話は相手のことで埋まります。 自分の話をする場面が無いまま、人と過ごす時間だけが増えていく。 そして「大変だね」と言われるほど、 自分がしんどいと言いにくくなります。役割があるからです。
このとき効くのは、人と会う回数を増やすことではありません。 自分の話を、役割抜きでする場所が1つあるかどうかです。
それは友人でも、匿名の場でも構いません。 「親の話ではなく、自分の話をしていい場所」が要ります。
なお、介護そのものについては相談できる公的な窓口があります。 地域包括支援センターが各自治体にあり、 費用や制度の相談ができます。ここでは、その判断はしません。
この先のことが不安なとき
10年後20年後の心配は、今日の寂しさとは別のものです。 混ざったまま考えると、どちらも重くなります。
将来の不安は、気持ちの問題ではなく準備の問題として扱えます。 住まい、お金、体調を崩したときに誰が動くか。 一度書き出して、いま決められるものと、まだ決められないものに分ける。 それだけで、夜に考える量が減ります。
ここは専門の窓口があります。お金の見通しは公的な相談窓口や専門家、 住まいや介護は自治体の相談先が用意されています。 この記事では、その判断はしません。
つらさが続いているとき
眠れない日が続く、食べられない、何をしても楽しくない。 そういう状態が2週間以上続いているなら、それは気の持ちようの話ではないことがあります。
病気かどうかの判断は、ここではできません。 医療機関で相談できます。心療内科や精神科は、しんどい人が行くところであって、 どこまでひどければ行っていい、という線はありません。
消えてしまいたい、という気持ちが出てきているときは、 一人で夜を越えないでください。
- よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・無料)
- #いのちSOS 0120-061-338
- こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556
おわりに
ひとりでいることは、直さなければいけない状態ではありません。
それでも重い夜はあります。そういう夜に、 誰かに言うほどではないことを置いていく場所があってもいいと思っています。
急がなくて大丈夫です。今日決めなくていいことのほうが、たぶん多いです。
よくある質問
40代でひとりがつらくなるのは、自分が悪いからですか?
性格や選択の失敗ではなく、周りの生活が変わることで起きます。同世代が家庭や介護や役職を持ち、同じ時間帯に動ける人が減るためです。2020年国勢調査では、50歳時点で結婚していない人は女性の17.81%、男性の28.25%でした。
婚活や趣味の集まりを始めたほうがいいですか?
合う人には合いますが、必須ではありません。「空白を消すため」に始めたことは続きにくいです。ひとりの時間そのものより、「ひとりでいる自分はおかしいのでは」と思う時間のほうがつらいことが多いので、まずそこを分けて考えるほうが先です。
何から手をつければいいですか?
孤独をひとことにせず、話し相手がいない・手が足りない・予定が埋まらない・この先が不安・周りの目が気になる、のどれが重いかを決めてください。必要なものが変わります。手が足りない部分は、人間関係ではなくサービスや自治体の窓口で埋まる部分が大きいです。
将来がひたすら不安で、夜に考えてしまいます。
10年後20年後の不安は、今日の寂しさとは別のものです。混ぜたまま考えるとどちらも重くなります。住まい・お金・体調を崩したときに誰が動くか、を書き出して、いま決められるものと決められないものに分けてください。お金や住まいには公的な相談窓口があります。
眠れない日や、何も楽しくない日が続いています。
その状態が2週間以上続いているなら、気の持ちようの話ではないことがあります。病気かどうかの判断はこの記事ではできません。心療内科や精神科で相談できます。消えてしまいたい気持ちがあるときは、よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・無料)へ。
連休や年末年始だけ、急につらくなります。
ふだんは仕事や用事が時間を埋めているので、それが無くなるとその分の空白が出ます。加えて周りの話題が家族と帰省で埋まり、自分の話す場所が減ります。条件がまとめて悪くなる時期なので、気持ちではなく予定のほうを先に置くと越えやすくなります。
親の世話で人と関わっているのに、孤独が減りません。
関わりの量ではなく向きの問題です。世話をする側にいると会話が相手のことで埋まり、自分の話をする場面が無いまま人と過ごす時間だけが増えます。人と会う回数を増やすより、役割抜きで自分の話をできる場所が1つあるかどうかが効きます。介護そのものは、地域包括支援センターで相談できます。
カードは事実の予言ではありません。いま何を考えるかの手がかりとして使ってください。病気・お金・合否については扱いません。
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