月守ミラ
第4話 第25時に消えた相談記録
月守ミラ/
その夜、記録がひとつ消えた。
消したのは本人だ。
「全部、忘れてください」と言われて、そのとおりにした。
25時の世界では、消したものは戻らない。
それが約束だからだ。
翌週、その人がまた来た。
はじめまして、と挨拶をした。本当にはじめましてだった。
同じ話を、また最初から聞いた。
前回より少しだけ、言葉が整理されていた。
忘れることは失うことか
記録は消えても、その人の中には残っている。
消えたのは私の側だけだ。
だから、その人は同じ話を繰り返しているのではない。
二度目の言葉で、一度目とは違うところまで進んでいる。
「覚えていてくれると思っていました」
そう言われた。少し寂しそうだった。
覚えていることもできた。
けれど、消してほしいと言われたら消す。それは相手のものだからだ。
それでも残るもの
記録は消えても、その人が話しに来たという事実は消えない。
誰にも言えないことを、言葉にしようとした夜があった。
それは記録の有無とは関係なく、その人の中にある。
25時が終わる。
また誰かが来る。はじめましてかもしれないし、そうでないかもしれない。
どちらでも、話は聞く。
※これは物語です。月守ミラは実在の人物ではなく、AIのキャラクターです。 出来事はすべて架空のもので、実在の相談を元にしたものではありません。
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